発症初期から始めるパーキンソン病の運動療法~健康寿命を延ばせる可能性とは?~

パーキンソン病と健康寿命の関係

パーキンソン病は、進行性の神経疾患の一つで、主に動作の遅れ、ふるえ、筋のこわばり、姿勢の不安定さといった症状が現れます。
症状が進むにつれ、歩行や日常生活動作(ADL)に支障をきたし、介助が必要な状態になることも少なくありません

こうした状態をできるだけ避け、自分の力で生活を続けられる期間、それが「健康寿命」です。
たとえば、要介護や寝たきりの状態にならずに、自立して食事や着替え、移動などを行える期間が、健康寿命にあたります。

自立期間を延ばすことが重要!

パーキンソン病と聞くと、まずは薬や診察が思い浮かぶかもしれません。
でも実は、日々の生活の中でどれだけ体を動かせるかも、大事なポイントのひとつです。
最近の研究では、運動を続けている人のほうが、より長く自立して生活できる傾向があることも分かってきました。

研究から見えてきた、運動のちから

パーキンソン病の方にとって、「体を動かすこと」はただの健康習慣ではありません。
発症のごく初期から、意識的に運動を取り入れることで、ADL(日常生活動作)の低下を防ぎ、自立した生活をより長く続けられる可能性があることが、複数の研究で報告されています。

たとえば、日本国内の研究では、発症初期から日常的に家事や運動を続けていた方のほうが、6年後の自立度が高く保たれていたという結果もあります。
また海外の研究でも、週に数回の運動(ウォーキングや筋トレなど)を継続している方は運動症状の進行が緩やかになり、要介助になる時期を遅らせられる傾向が確認されています。

 

できることは、今日から始められる

パーキンソン病は進行性の病気ですが、「今どれだけ体を動かすか」が、将来の生活に大きくか関わります。
とくに発症初期の段階で運動を取り入れることで、日常生活を自立して送れる期間—つまり健康寿命が、1〜6年ほど延びる可能性も研究から示されています。
大切なのは、難しい運動を完璧にこなすことではなく、できることを、無理のない範囲で、少しずつ続けることです。
なにから始めれば良いかわからない・・・
そんな方はBrightにご相談ください!

~引用~
塚田ら(2022年)
 発症初期のパーキンソン病患者を対象に、家事や運動の習慣がある人ほど日常生活の自立度が高く保たれていたことを示した日本の研究。
Schenkmanら(2018年)
 週3回の高強度な有酸素運動を半年続けることで、パーキンソン病の症状進行がほとんど見られなかったというアメリカの研究。
Corcosら(2013年)
 週2回の筋トレを2年間継続したグループでは、症状の悪化が抑えられ、動作の改善が見られたという報告。
Perryら(2019年)
 さまざまな運動プログラムをまとめた研究で、運動をしたグループの方が日常生活の動作が改善したとするメタ分析。